資本主義の先を予言した史上最高の経済学者 シュンペーター
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内容メモ
シュンペーターの考えの一部
「アイディアはただのゴミ」 であり、「既存のものを組み合わせることが大切」 ← はるかに大きなものを生み出せる
生み出したものを世の中に広めることが大事
新しい利用シーンを生み出す方が大きな流れを生む
本書は 3 部構成
1 部 : シュンペーターとその思想
2 部 : イノベーションの本質
3 部 : 資本主義の次に来る世界
1 部 シュンペーターは何者?
1 章 シュンペーターの思想を知る
持続可能であるために、事業が利潤を生み、その利潤を再投資するというダイナミズムが必要 デジタル化により、あらゆる情報が 0 / 1 に変換される → これまで融合できなかったもの同士を融合させられる
社会課題は大きすぎて、何からやればよいかわからなくなりがち
ポーター理論にはイノベーションの視点がない
2 章 シュンペーターは何者か
どちらも、やがて資本主義はダイナミズムを失って社会主義の時代が来ると予言 シュンペーターがいう社会主義は、国家に権力を集中させるような極端な共産主義ではない 世界恐慌の中で、従来の自由放任主義を批判し、政府が積極的に経済に介入して需要を作るべきだと主張 シュンペーターは最初からケインズ理論に批判的 (反資本主義的と断じる)
シュンペーターのアカデミックのキャリアにとってもケインズ旋風は迷惑だった
シュンペーターは計量経済学に早くから着目はしていたが、機械的な定式化には懐疑的だった 1954 年に書かれた 『現代の経営』 において、シュンペーターを 「もっとも偉大な近代経済学者」 と呼ぶ ドラッカーも、ケインズの考えが誤りだとみなしている
ケインズは健全かつ正常な経済は均衡状態にあるという前提だが、それは正しくない
日本の経済学者に影響を与えている
遠近複眼思考 : 時間軸をミクロ、マクロ、メガで捉えて俯瞰し、自在にずらす 2 部 イノベーションとは何か
3 章 シュンペーターの思想の本質
アダム・スミス以来の経済論は、自由競争により市場に均衡がもたらされることを前提としていた シュンペーターは、それは机上の空論だとし、創造的な力で均衡が破られることこそ経済発展の本質とした
DX や SX などの時代の潮流に乗るだけでは、激流に流されるゴミと同じ 4 章 イノベーションのカギは 「新結合」
イノベーションの確率を高めるには?
2. あらゆる可能性を視野に入れる
3. 仮説を設定したら行動に移す
4. 思いを顧客にしっかりと伝える
新結合は群生する
イノベーションには異質なもの同士の新結合が必要 → 異結合 イノベーションを起こすには内部の充実が必要
異能の人財が定着しようとするのは、その企業独自の組織能力がテコになって、自分の力が桁違いの価値を生み出すと確信したときだけ
5 章 アントレプレナーになろう
与えられた環境を甘受する幸福主義的、快楽主義的な静態的人間は何もできない
3 つの行動意欲
アントレプレナーにとっては障害にならない
行動への衝動
大切なのは決断すること (アイデアを作ることではない)
創造的破壊を仕掛け続けるのがアントレプレナーの役割 均衡に向かう静的側面を重視
アントレプレナーをイノベーションに駆り立てる動機
金銭目的、権力目的、創造目的
6 章 信用を忘れてはいけない
未来は現在の延長ではなく、自分で作り出すもの
そのために、同志を増やすこと
アントレプレナーがディレクター (現場の統括) で、銀行家はプロデューサー (資金、管理の総責任者)
最終的にリスクを負うのはアントレプレナーではなく資本家 NPV で判断すると、10 年後の価値を例えば 7 % で割り引くと価値は半減 10 年後と同等のキャッシュをその後も生む場合、永続価値はその事業の現在価値の 2/3 を占める 直近 1 年で価値を判断すると 5 % 未満
現在価値にむりやり換算する意味はない
銀行家は、社会全体のイノベーションを促進する力をもつ イノベーションをめぐる新しい銀行
無形資産を将来価値に変換する方程式が確立されていない 7 章 時代の波を読む
魚の眼 (魚の目) で時代の潮流を読んだうえで、流れに逆らって行動する 学ぶべきこと
1. 目の前の現象にとらわれない
3. 右肩上がりの循環である
3 部 資本主義の先を見る
8 章 資本主義の後に
世界規模で次世代資本主義モデルを模索
シュンペーターは、マルクスを 「未来の理論といえる経済理論を最初に思い描いた人物」 と評価 革命によりできるものではなく、資本主義の発展
実際には社会主義への道を転がり落ちるだけ
反シュンペーター的で、アメリカでもイギリスでも不首尾に終わる
民主主義を正義や価値観として振りかざすべきではない
∞ 章 もしシュンペーターが現代日本に現れたら
資本主義は、ヒト・モノ・カネのうちカネ中心
今やカネは有り余っている
ヒトの志を中心とすると正しい進化に向かうのでは?
政治化や官僚が 100 年先の社会を構想できるか
nobuoka.icon 100 年先の構想、無理では?
市民が未来をしっかり洞察できるか
3 つのアウト
ありたい姿を自分で描く
VUCA の時代なので、超短期と超長期の視点を使い分ける